ピルの処方は婦人科外来(木曜午後・土曜)のみとなります
低用量ピル(OC)とは
低用量ピルのOC(oral contraceptives)は、避妊目的で使用されるピルですが、排卵を抑制し、生理を調整できるため、子宮内膜症や月経困難症、過多月経の症状の緩和に有効です。
なお、OCの処方には保険が適用されないため自費となります。
現在は、子宮内膜症や月経困難症に対しては超低用量ピルが使用されることが多くなってきており、処方には保険が適用されます。生理周期を調整する作用もあるため、生理のスケジュール管理、体調の把握にも効果的です。
当院では、ピルの処方にあたり丁寧なご説明を心がけており、リスクについても十分に説明いたします。安心してご相談ください。
低用量ピルの使用がお勧めの方
ピルの副作用
- 胸の張り
- むくみ
- 倦怠感
- 吐き気
- 頭痛
- 不正出血
など
低用量ピルの服用を始めた当初、上記に示すような症状が稀に見られますが、1〜2ヶ月ほど経過すると治まることが多く、3ヶ月以内にはほとんどの方が治まっています。副作用のなかでは不正出血が最も多く、生理と同程度の出血、おりものに茶色の血液が混ざることなどがあります。症状の程度は少しずつ緩和していくため、状態を確認して再診の際にお伝えください。頭痛に対しては市販の頭痛薬で対処しても問題ありません。当院では吐き気止めも処方しています。
血栓症について
ピルの服用により、滅多にありませんが血栓症を発症する可能性があります。血栓症は、血の塊である血栓が血管内に発生する疾患で、心筋梗塞や脳卒中などの重篤な疾患に繋がる恐れがあります。
ピルを服用した方が1万人の場合、血栓症は9人程度にしか認められません。また、死亡確率は10万人に1人と言われています。このように発症確率が非常に低く、さらに予兆があることがほとんどのため、発症する可能性がある点、初期症状について正しく理解することで、早期に治療を受けて深刻な状態になるのを防げます。
血栓症の初期症状
- 激しい頭痛
- めまい、失神
- ふくらはぎのむくみ、痺れ、痛み
- 胸部の鈍痛、圧迫・締め付けられるような痛み
- 急な息切れ
- 視野狭窄、視野暗転
- 舌がもつれてうまく会話できない
など
※上記のうち、ふくらはぎの症状は片脚に起こることが多いですが、両側に起こることもあります。
※いずれかの症状が起きた場合、ピルの服用を中止して救急医療機関にご受診ください。
血栓症を防ぐために意識すること
- こまめに水分を補給する
- 禁煙に取り組む
- 適度に運動し、適正体重を維持する
- 同じ姿勢を長時間続けない
長時間にわたり、運転、フライト(4時間以上)、デスクワーク、勉強・ゲームなど座った状態を続ける場合、足踏みをして下肢を動かす、こまめに立ち上がってストレッチを行う、こまめに水分を補給するなどを心がけましょう。
将来の妊娠への影響
ピルを服用することで、将来の妊娠・出産、胎児に影響が及ぶことはありません。妊活に取り組む場合、ピルの服用をやめることで、再び排卵が始まり、妊娠できる状態になります。また、妊活に取り組むギリギリまで服用を続けて頂いて問題ありません。
ピルの服用に太ることはありません
ピルを服用することで太ると噂されていますが、世界中の研究データを見ても、ピルによる体重への影響は認められていません。一点可能性があるとすると、女性ホルモンのバランスを整えて保水力が向上し、体内の水分量が増えることで太ったと感じることがあります。脂肪量が増えたわけではないため、適度な運動や水分補給により体内の水分量を調整可能です。
月経困難症の治療薬(保険適応)
女性は月経(生理)と付き合っていく必要がありますが、成人女性の7〜8割の方に生理痛が起こっているという報告があり、月経に伴う不快症状に毎月悩まされている方も多いです。
なお、痛みの感じ方は人によって大きく異なり、軽い痛みや重だるい程度であれば特に心配ありませんが、激しい痛みにより日常生活に障害が出ている場合、月経困難症と診断され、疾患が原因となっていることもあります。そのため、できる限り早めに医療機関で検査を受けましょう。
痛みは鎮痛剤に一時的に抑えられることもありますが、低用量ピルが効果的です。避妊薬のイメージがありますが、女性ホルモンのバランスをコントロールし、生理痛を改善する効果も期待できます。
保険適応に必要な検査
月経困難症の痛みを引き起こす疾患の有無を確認します。
- 内診、視診(性行為を経験したことがない方は内診をスキップできます)
- 超音波検査、血液検査
- 腹腔鏡検査、MRIなどの画像検査
処方ができない方
下記に示す条件・疾患に該当する方には、基本的に処方を行っていません。
- 高血圧(重度)
- 血管病変を伴う糖尿病
- 前兆を伴う片頭痛
- 肝臓疾患(重度の肝障害や肝腫瘍など)
- 心疾患(重度の心臓弁膜症など)
- 乳がん
- 血栓症の兆候・既往歴がある
- 自己免疫疾患(抗リン脂質抗体症候群)
- 原因が分からない不正出血
- 妊娠中あるいは妊娠の可能性がある
- 授乳中(産後6ヶ月未満)
- 手術前後及び長期間の安静が必要
上記以外にも、高度肥満の方などは使用に注意を払う必要があります。詳細についてはお気軽に当院までご相談ください。